歴史/偉人
賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ 我等は巨人の肩の上にいる



謎のチェス指し人形「ターク」
トム・スタンデージ 服部 桂
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★★★★★

18世紀に生まれたチェスを指す人形「ターク」の数奇な運命に迫った一冊。
この人形はヨーロッパ、アメリカで大きな反響を呼び、様々な論争を巻き起こしました。
タークは驚くほどチェスが強く、時には声を発し、またある時には対戦相手を挑発さえしたといいます。
中に人が入っているのでは?と当時の科学者や知識人は疑いましたが、間近で観察しても謎は解けず。
結局そのメカニズムは引退するまでの85年間、誰にも見破られませんでした。

本書はそのチェスを指す人形タークの誕生から、活躍、反響、流転、解明、最期までを綿密に追っています。
タークは「機械は知能を持つのか?」という大きな疑問を人類に突き付け、多くの人々の想像力を刺激しました。
これはまさに史上初の人工知能論争といってもいいかもしれません。
今日のコンピュータに至る大きな議論に火を付けたのは、実は小さな一体の人形だったと思うと不思議な気がしますね。

また、タークはその生涯で多くの偉人と関わっています。
マリア・テレジア、ナポレオン・ボナパルト、ベンジャミン・フランクリン、チャールズ・バベッジ、エドガー・アラン・ポーなどなど錚々たる顔ぶれです。
彼らとのエピソードもふんだんに語られており、歴史ものとしても大変面白いです。
特にエドガー・アラン・ポーがタークのメカニズムを論理的に分析&推測した一件は、後に彼が生み出す世界初の推理小説へ繋がって行くと感じられ凄く興味深いです。

たった一体の人形が、世界の歴史に与えた影響とは?
果たしてタークの正体とは?
なぜその秘密は長らく誰にも分らなかったのか?
その答えは、本書の中にあります。

論理的な話が好きなプログラマーなら、推理しながら読むと楽しい一冊ですね。


アホでマヌケな米国(アメリカ)ハイテク企業
―エクセレント・カンパニーを崩壊に導いた、トホホなマーケティング20年史

メリル・R. チャップマン Merrill R. Chapman
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★★★★★

見も蓋も無い書名ですが、コンピュータ業界の歴史を笑いながら学びたい人にオススメ。
やはり成功よりも失敗から学ぶ事が多い!そしていちいち笑える。

IBMのPCジュニアやOS/2、アシュトン・テイトのdBase、マイクロプロのワードスターなど
「トホホなマーケティング」のせいで消えていった製品の数々を、当事者の視点からブラックユーモアたっぷりに語った一冊です。
ちょっと古い例えですが「新・電子立国」とモンティパイソンを足して割ったような内容になってます。

かつては隆盛を極めた企業が、ヤクでラリったとしか思えない(本当にそう書いてある)マーケティングを連発する歴史は幾度も繰り返されます。
ハイテク業界の失敗は意外にも人間に起因する例が多く、ラノベを読むような感覚で笑わせて貰いました。

かつてはマイクロソフトのライバルだった会社達が、なぜ崩壊してしまったのか?
その理由は、本書を読めばよく分かります。


あなただけができることをやりなさい
ソフトウェア界の偉人23人の名言集 (プログラマーズ叢書)

細貝 俊夫
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★★★★★

 クロード・シャノン、ドナルド・クヌース、トム・デマルコ、デニス・リッチー、嶋正利、エドガー・ダイクストラなどなど

今日のコンピュータの発展に大きく貢献した、偉人23人の人生と名言を一冊に纏めたのが本書です。
偉人達の生き方はどれも示唆に富み、私自身の人生観を大きく揺さ振られました。

我々が情報技術の恩恵に与れるのも、偉人達のお陰なのは間違いありません。
ニュートン風に格好良く言うと、遠くまで見えるのは巨人の肩の上に立っているからなのです。

我々はプログラマとしてどう生きるか?
という根本を考える上で、とても参考になる一冊だと思います。


コンピュータ開発史―歴史の誤りをただす「最初の計算機」をたずねる旅
大駒 誠一
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★★★★★

 コンピュータの開発に挑んだ先人達の業績がよく分かる良書。
間違いなく良書なんですが、価格が\7000というビッグプライス。さすがに喜んでお金を出して満足するのはよほどのコンピュータマニアぐらいでしょう・・・
でも老若男女パソコンを触らない人も含めて全ての人にオススメです。

特徴はとにかくカラー写真が豊富で、読んでいて楽しい!文章も分かり易いので、技術的な知識は全く要りません。 なにしろ最初はそろばんや歯車の話で、学研の科学のようなノリで読めます。

今から見るとモンスター級に巨大な計算機がバシバシ出てきて、視覚的なインパクトは相当なものです。
個人的には、今まであまり紹介されなかったコンラッド・ツーゼ氏に丸々1章を割いている点が最高です。

本書を読んで 「今自分がプログラマーを出来るのも、偉大な先人達が礎を築いてくれたからに他ならない。」 そんな思いを強くしました。


闘うプログラマー[新装版] ビル・ゲイツの野望を担った男達
G・パスカル・ザカリー 山岡 洋一
4822247570

★★★★

 伝説のプログラマーことデビッド・カトラーと共に、WindowsNTの開発に携わったプログラマー達の壮絶なノンフィクション。

カトラーの強烈な人間性・リーダーシップと、困難に挑むプログラマ達の奮闘が鮮やかに、かつ泥臭く描かれています。
私自身の経験と共感できる部分も多々あり、特に後半は興奮しながら一気に読めました。

まさに書名に偽りなし!闘うプログラマー達の熱いエネルギーを感じ取りましょう!


実録!天才プログラマー (マイクロソフトプレスシリーズ)
マイクロソフトプレス
4871483630

★★★★

 画期的なソフトウェアを開発した、19人の天才プログラマー達のインタビュー集です。
若き日のビル・ゲイツ、CP/Mのゲイリー・キルドール、Adobeのジョン・ワーノック、そしてパックマンの岩谷徹などなど

ソフトウェア業界のスターとして活躍した天才達が、開発の裏話やプログラミング観などを豊富に語っていおり、その輝きは今日でも色褪せていません。
また直筆の開発メモやソースコードも載っていて、これが必見。彼等の息吹やオーラを感じられます。

ソフトウェアを志す人に是非読んで欲しい、先人達の偉大な記録です。





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